受精卵移植技術者活動実態調査成績報告書(平成12年度)から (2)

4. 人工授精・受精卵移植における流産と産子事故の損耗率について
1) 人工授精における妊娠250日以内の流産率
  640名の回答で2%以下が346名(54.1%)、次いで3〜4%が202名(31.6%)である。7%以上の事故率は36名と極端に少ない。
2) 人工授精由来産子における生後1ヵ月以内の事故率(死産・生後直死及び24時間以内の死を含む死廃率)
  610名の回答で事故率5%以下が533名(87.4%)と圧倒的に多く、11%以上の回答者は9名と少ない。
3) 受精卵移植における妊娠250日以内の流産率について
  610名の回答で事故率2%以下が359名(58.9%)と半数を占めており、次いで3〜4%が92名(15.1%)となっている。
4) 受精卵由来産子における生後1ヵ月以内の事故率 (死産・生後直死及び24時間以内の死を含む死廃率)
  498名の回答があり、事故率5%以下が489名(81.0%)と圧倒的に多い。
5) 4)で死廃した産子で最も例数の多かったと思われる時期について
  440名の回答で24時間以内(死産又は生後直死等)が最も多く224名(50.9%)で半数を占めている。他の3項目は20%に満たない。
6) 5)における最も多い原因について
  433名の回答で「死産・生後直死」236名(54.5%)、「病気」119名(27.5%)、「飼養管理中の不慮の事故」57名(13.2%)、「飼料給与等の栄養管理の失敗」21名(4.8%)の順であった。
図5.死産産子で例数の多かった時期
7) 受精卵由来産子の安定した生産を行うため、受精卵移植を取り入れている農家が最も心がけていると思われる事項について
  701名の回答があり、「移植時の受卵牛の栄養管理」が269名(38.4%)、次いで「分娩直後の子牛の栄養管理(初乳の与え方)」248名(35.4%)、「分娩時の牛体観察、分娩看護」、「子牛の発育日齢にあった栄養管理」が共に80名の回答であった。
5. 受精卵由来産子の出荷時期・出荷仕向先について
1) 現在和牛の受精卵由来産子の出荷時期で最も多いと思われる時期
759名の回答があり、「生後6ヵ月〜10ヵ月未満」が361名(47.6%)、「生後10ヵ月以上」が126名(16.6%)、「生後1ヵ月〜3ヵ月未満」が86名(11.3%)の順であった。
図6.和牛の受精卵産子で最も多い出荷時期
2) 現在和牛の受精卵由来産子で最も多いと思われる最初の出荷仕向先
「市場」528名(73.4%)、「契約先(繁殖農家、肥育農家)」127名(17.7%)で「家畜商」、「自家保留」の回答者は50名に満たない。
3) 1)に関し農家が本当に望んでいる時期で、最も多いと思われる時期
  722名の回答であるが「生後6ヵ月〜10ヵ月未満」が318名(44.0%)、「生後10
日以内」、「生後1ヵ月〜3ヵ月未満」がそれぞれ116名(16.1%)となっている。
4) 2)に関し農家が本当に望んでいる出荷仕向先で、あなたが最も多いと思われるもの
  714名の回答で「市場」が455名(63.7%)、次に「契約先」180名(25.2%)であった。他の2項目は10%に満たない。
5) 現在乳用牛の受精卵由来雌子牛で、最も多いと思われる出荷時期
  599名の回答で「移動なし」が393名(65.6%)、次に「生後11日〜1ヵ月未満」で8.5%、他の5項目も10%に満たない。
6) 現在乳用牛の受精卵由来雌子牛で、最も多いと思われる出荷仕向先
  591名の回答で「自家保留」が413名(69.9%)で最も多い。次に「市場」が97 名16.4%、他の2項目は10%に満たない。
7) 5)に関し農家が望んでいる時期で、最も多いと思われる出荷先
593名の回答で「移動なし」が376名(63.4%)で最も多い。次に「生後1ヵ月〜3ヵ月未満」58名(9.8%)、他の5項目も10%に満たない。
8) 6)に関し農家が望んでいる出荷仕向先で、最も多いと思われる出荷仕向先
  584名の回答で「自家保留」が394名(67.5%)で最も多い。次に「市場」が97 名(16.6%)、他の2項目は10%に満たない。
6. 受精卵移植の普及を図る上での基礎的技術の現状について
1) 受精卵移植技術の基礎的技術は、統一性のある普及技術になっていると考えるか
  787名の回答があり、「微妙な点で統一性を欠くが仕方がない」が434名(55.1%)、「統一性のある普及技術になっている」が291名(37.0%)の順である。
2) 1)で2、3を回答された方は、特に問題と考えているその分野について
  473名の回答があり、「受卵牛の選択方法」が248名(52.4%)、「受精卵の凍結・融解」159名(33.6%)、「過剰排卵処理・採卵方法」は66名と少ない。
図7.受精卵の流通について、最も問題と考える事項
3) 受精卵の流通について、最も問題と考える事項
  688名の回答があり、「現状で大きな問題はない」が283名(41.1%)、「受精卵のステージ・ランク・凍結法等の必要な情報が不足していること」が216名(31.4%)が回答者数が多い。





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