受精卵移植技術者活動実態調査成績報告書(平成12年度)から (1)


はじめに
 家畜受精卵移植及び関連技術の研究開発は日進月歩の勢いで進展し、実用化も促進されているが、いまだ安定した技術とはなっていない面もあり、今後の研究開発に待つ課題も多い。
  また、実用化の推進に当たって、優良受精卵の安定供給体制の整備、熟練技術者の確保等については、この事業の推進上重要な課題にもなっている。
  このようなことから、今回の調査は各都道府県の実態を把握し、今後の受精卵移植の円滑な推進に資する目的で行われた。
調査の方法
  各都道府県家畜人工授精師協会(栃木県は畜産振興課、東京都は農芸畜産課)が調査主体となり、各都道府県内で家畜受精卵移植業務に従事している技術者の協力を得て実施した。
  回答のあった技術者は840名で獣医師372名、人工授精師468名となっている。技術者の年齢構成は男性では31〜50才までが813名中569名と多く、全体の70%を占めている。技術者の所属構成は開業、専従勤務、非専従勤務及び自家移植に分類して調査した。
図1.受精卵移植技術者の年齢構成
1. 人工授精の実施状況(平成11年4月1日〜平成12年3月31日)
1) 乳用牛に乳用牛精液を授精した延べ頭数受胎率
  44県の授精延べ頭数は219千頭のうち、北海道が149千頭と多く、延べ受胎率が47.1%である。全国の延べ受胎率の平均が51.2%、延べ受胎率が60〜69.9%の県が19県あった。
2) 乳用牛に肉用牛精液を授精した延べ頭数受胎率
  43県の授精延べ頭数は82千頭で、全国の延べ受胎率の平均が60.3%。延べ受胎率が60〜69.9%の県が21県あった。
3) 肉用牛に肉用牛精液を授精した延べ頭数受胎率
  45県の授精延べ頭数は72千頭で、全国の延べ受胎率の平均が65.5%。延べ受胎率が60〜69.9%の県が15県あった。
2. 受精卵の移植状況(平成11年4月1日〜平成12年3月31日)
1) 体内受精卵
(1) 乳用牛(新鮮卵):34県の成績で移植延べ頭数1,286頭、延べ頭数受胎率54.3%で 昨年は51.5%であったので2.8ポイント高い。
(2) 乳用牛(凍結卵):41県の成績で移植延べ頭数3,877頭、延べ頭数受胎率47.2%で 昨年は50.1%であったので2.9ポイント低い。
(3) 肉用牛(新鮮卵):40県の成績で移植延べ頭数3,876頭、延べ頭数受胎率51.3%で 昨年は50.1%であったので1.2ポイント高い。
(4) 肉用牛(凍結卵):46県の成績で移植延べ頭数14,544頭、延べ頭数受胎率46.7% で昨年は47.3%であったので0.6ポイント高い。
図2.受精卵移植における延頭数受胎率
2) 体外受精卵
(1) 乳用牛(新鮮卵):6県の成績で移植延べ頭数52頭、延べ頭数受胎率40.0%である。昨年は33.3%であったので6.7ポイント高い。
(2) 乳用牛(凍結卵):17県の成績で移植延べ頭数387頭、延べ頭数受胎率45.0%で 昨年は33.8%であったので11.2ポイント高い。
(3) 肉用牛(新鮮卵):13県の成績で移植延べ頭数624頭、延べ頭数受胎率49.4%で昨年は46.5%であったので2.9ポイント高い。
(4) 肉用牛(凍結卵):30県の成績で移植延べ頭数3,425頭、延べ頭数受胎率37.3%で昨年は34.8%であったので2.5ポイント高い。
3. 受卵牛について
1) 受卵牛の発情確認について
(1) スタンデング発情のみで判断する。
(2) スタンデング発情と陰部・挙動等の外部徴候で判断する。
(3) スタンデング発情と直腸検査結果の両者で判断する。
(4) スタンデング発情を観察できないので直腸検査の結果を重視する。
(5) スタンデング発情を観察できないので直腸検査の結果と陰部・挙動等の外部徴候で判断する。
5項目の調査で、2項目の複数回答もあるので延べ回答者数は1,154名である。Cが最も多く476名(41.2%)、次いでEが327名(28.3%)で70%を占めている。
図3.受卵牛の発情確認方法
発情のみ    =スタンデング発情のみで判断する
陰部・挙動   =スタンデング発情と陰部・挙動等の外部兆候で判断する
直腸検査    =スタンデング発情と直腸検査結果の両者で判断する
直腸検査重視  =スタンデング発情を観察できないので直腸検査の結果を重視する
直腸+陰部・挙動=スタンデング発情を観察できないので直腸検査の結果と陰部・挙動等の外部徴候で判断する
2) 受卵牛の発情同期化処理について
(1) 受卵牛は自然発情のみで発情同期化は一切行わない。
(2) 受卵牛の1/3以内の牛は発情同期化している。
(3) 受卵牛の約半数の牛を発情同期化している。
(4) 受卵牛の2/3以内の牛を発情同期化している。
(5) 受卵牛の2/3以上の牛を発情同期化している。
回答者数が753名で、Aが363名(48.2%)、次いでBが258名(34.32%)で82.5%となっている。
3) 受卵牛発情同期化の処理方法について
(1) PGのみで同期化処理する。
(2) CIDRのみで同期化する。
(3) CIDRとPGを併用する。
(4) CIDRとPGとエストラジオールを併用する。
(5) GnRHとPGとGnRHを併用する。
(6) その他。
2項目の複数回答もあるので延べ回答者数は566名である。Aが306名(54.1%)で最も多く、次いでCが106名(18.7%)となっている。
図4.受卵牛発情同期化の処理方法
PGのみ  =PGのみで同期化処理する
CIDRのみ =CIDRのみで同期化する
CIDRとPG =CIDRとPGを併用する
エストラジオール=CIDRとPGとエストラジオールを併用する
GnRHとPG =GnRHとPGとGnRHを併用する




一般社団法人 日本家畜人工授精師協会(AIAJ) 東京都江東区冬木11番17号 イシマビル17階 TEL 03(5621)2070